こくごな生活

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年賀状のあて名を書き間違えると なかなか戻ってこない恐れがある件

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こんにちは。

 

郵便局では年賀状の引き受けが始まるシーズンになりました。

そこで、年賀状に因んだ話題を一つかいておきたいと思います。

 

年賀状を作成する際、既存の住所録で宛名を作成したため、うっかり旧住所で送ってしまい、宛所不明で戻ってきてしまったという経験はありませんか?

 

この宛所不明の還付、年賀状は普通の郵便に比べてかなり遅いんです。

僕が郵便局員時代、この件について問い合わせを受けた経験があるので、今回はそのことについて取り上げてみます。

 

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1 郵便物が宛所不明で還付になるまでの流れ

まず前提として、郵便局で宛所不明で還付をするときの一般的な流れを見てみましょう。

 

⑴ 引き受けたその日に還付できる場合

ポストなどで投函された郵便物は、その日のうちに郵便局で選別・区分などがされるわけですが、そのときに明らかに宛先が不当であることを発見できた場合、原則的にその日のうちに還付作業が行われます。

 

たとえば

  • 宛先が全く記載されていない
  • 架空人物への宛先(「サンタさんへ」など)

等がこれに当たります。

 

還付作業が行われると、還付先の住所がその郵便局の配達エリアなら引き受け日の翌日、そうでない場合でも大体2、3日後には郵便物が差出人のもとに返ってきます。

 

⑵ 配達員が還付作業を行う場合

引き受けたときに明らかな宛先の不備が発見できなかった場合、いったんその郵便物は到着局に送られ、その局の配達担当者の手元にいきます。

配達担当者は、配達エリアの原簿をみてその宛先があっているかチェックをし、もし配達できないようなら、その時点で還付処理をします。

 

この場合、郵便物がいったん到着局に発送されるので、その分差出人のもとに返ってくるのが遅くなります。一般には往復分の日数(概ね3~5日くらい)かかるとみていいでしょう。

 

⑶ 基本的に郵便物はいったん到着局に送られる

では、引き受け時に還付できる場合と配達担当者により還付する場合の区別はどうやってつけるのでしょう?

 

この点、明確な基準はありませんが、基本的には、よほどデタラメな宛先でない限りはいったん到着局に送られると考えて間違いありません

 

まず、引受担当者は郵便料金や速達表記などの郵便要件事項の記載のチェックをすることが主な仕事ですから、住所・氏名の詳細な確認などはしません。

基本的には郵便番号に従って区分機などにかけてエリアごとに仕分けをすることのみに専念します。

 

これは「引受担当者が住所チェックに手を抜いている」というわけではありません。

つまり宛先の細かい判断は配達担当者の方が的確に判断できるので、宛所不明の判断は基本的に配達局でやってもらうべきという価値判断が働いているのです。

 

例えば、住所の記載に号数が抜けているときでも、そこに書かれている建物名がその配達エリアではとても有名で、誰が見てもその場所が分かるという場合には、無碍に差出人に返さずに配達した方がいいでしょう。

 

しかしその判断は差し出された郵便局のエリアでは難しい。

それならば、「ちょっと住所の記載が怪しくてもいったん到着局のもとに送っておこう」という考えになるわけです。

 

このような価値判断があるので、宛所不明が判明するのは時間がかかることが多く、差出人に戻ってくるのが遅くなることも増えてしまうというのが現状です。

 

2 年賀状の場合

上記の事情に加え、年賀状の場合は引受け処理から配達担当者のもとに届くまで更に時間がかかるので、還付がさらに遅れます。

 

つまり

① 引受してすぐに到着局に発送するとは限らない

② 到着局についたとしても年賀の時季特有の事情により還付に時間がかかる

という理由があります。

 

⑴ 年賀状は引受をしてもすぐに発送しない?

普通の郵便物は、基本的には引き受けをしたその日に到着局に発送されます(引受時間が遅いときや郵便物の種類物量にもよりますが)。

 

しかし年賀状の場合は、引受期間が始まっても、その日のうちに到着局に送ることはせず、いったん保管します。

年賀の短期バイトが入ってきて年賀専用の差立て作業場が準備できたあとに、はじめて到着局に発送する作業に入ります。つまり年賀状の引き受け開始機関から発送までに、数日間のタイムラグがあるわけです。

 

これは

  • 年賀状は日付印を省略するので誤消印防止のために別管理する必要があること
  • 年賀と一般信の混入を防ぐために、作業場や運送便を区別する必要があること

によるものです。

 

つまり年賀状は、引受期間の早いうちから出しても、すぐに到着局に届くわけではないということです。場所にもよりますが、12月の下旬ころから発送が始まって、到着局に届くのは、早くても25日以降と思っておけばいいでしょう。

 

⑵ 到着局についてから年賀状が還付されるまで

では、たとえば宛所不明の年賀状が25日に到着局についたとして、これをすぐに還付してくれるのでしょうか。

 

結論からいうと、「すぐに」というのは難しい。

 

住所不明の年賀状は、いったん「事故郵便」として集中保管されます。

年内は正規の配達物の処理を優先するので、この事故郵便物を処理するのはどうしても後回しになってしまうのが現状です。

 

しかも還付の場合、差出しと異なって区分機が使えません。全部手作業

以前と比べて年賀状の引受数が減ったとはいえ、何千枚もの年賀状の還付をその日のうちに手作業で終わらせるのはやはり難しいのです(人員も削減されてますし)。

 

そんな事情を勘案すると、宛所不明の年賀状は、どんなに早く出したところで、「早くて年末ぎりぎり」くらいに返ってくるくらいと考えた方がいいでしょう。

 

3 まとめ

以上、年賀状の宛名を書き間違えると、一般の郵便物よりも返ってくるのが遅くなるというおはなしでした。

 

郵便局員担当者のネガティブないいわけみたいになってしまって恐縮ですが、この記事を参考に、年賀状の宛名を間違えることはリスキーなことであることが分かっていただければ幸いです。

 

つまり

「早めに出したら早めに戻ってくるだろうから、そのとき書きなおせばいい」

というふうに思わない方がいいということです(実際、そう思っているお客さんもいらっしゃいました)。

 

こんなことを書いていると、つくづく「年賀状ってメールと比べると不便だな」と思ってしまいますけどね。

それでも年賀状特有のやりとりに季節感を感じる僕は、今年も書こうと思っています。

 

それでは、また。

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