こくごな生活

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航空搭載地域にゆうパックを送る際の品名記載の仕方をざっくり説明

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こんにちは。

 

以前、元郵便局員の立場から、ゆうパックにおける航空搭載禁止品の判断の難しさについて記事を書きました。

bigwestern.hatenablog.com

この記事は、郵便局員の愚痴みたいな情けない内容になってしまいました。 

そこで今回は、利用者の立場から航空搭載品をゆうパックで送る際の注意点を書いてみたいと思います。

 

注意点はいろいろありますが、ここでは特に品名記載の仕方について紹介します。

もちろん個別・具体的な疑問は郵便局に問い合わせた方が良いですが、品名記載の大まかな考え方を知っておけば、発送の際に未然にトラブルを防ぐこともできるので、参考にしてみてください。

 

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1 品名を「具体的に」書けってどういうこと?

⑴ 品名記載の趣旨

まず、航空搭載品の品名記載について、郵便局の見解を確認しておきましょう。

www.post.japanpost.jp

ゆうパックなどの運送品では、飛行機に載せられないもの(※航空搭載禁止品)があるため、中身がそれに該当しないことを確認するために品名を記載することになります。

 

※航空搭載禁止品(郵便局HPより)

1 火薬類

2 高圧ガス

3 引火性液体

4 可燃性物質

5 酸化性物質類

6 毒物類

7 放射性物質

8 腐食性物質類

9 その他有害物件(リチウム電池など)

 

たとえば品名に「インクカードリッジ」と書いてあったら、中にインクが入っていることが分かります。インクは引火性液体なので、このゆうパックは飛行機に載せられないと判断できるわけです。

 

このように、品名は航空搭載禁止品に該当するか判断するための手掛かりになるので、具体的に書かなくてはなりません。郵便局のHPにも同様の記載があります。

内容品が確認できるよう、具体的な品名を品名欄に記載してください

 

 ここで「どのくらい書いたら、具体的といえるのか?」について、郵便局側は特に説明がありません。

しかし、上に挙げた9つの航空搭載禁止品(以下「禁制品」)に該当するかどうかを判断するため、という品名記載の趣旨から考えると、その書き方のヒントが見えてきます。

 

⑵ 品名記載の仕方は禁制品から逆算して考える

上記の考えからすると、品名記載については禁制品が含まれる可能性を排除する方向で書けばよいことが分かります。

 

つまり、禁制品が含まれる可能性のあるカテゴリで品名を書かないということです。

 

たとえば食品という品名の場合、その中には「肉類」「魚類」「野菜」「果物」「菓子」等々、様々なものが含まれるため一見すると抽象的にみえます。

 

しかし、食品の中にあるこれらの要素は、どれも引火・爆発するなどの危険なものではないため、禁制品を含む可能性がありません。したがって食品というカテゴリに関しては、「食品」という比較的抽象的な表記でも許されるのです。

 

しかし飲料だと少々事情が異なります。

 

飲料の中には「酒類」という要素があります。

酒類に関しては、引火性液体であるアルコールを含むため、ゆうパックで送る際には規制があります。

※詳細がこちら(↓)

ゆうパックでお酒は送れますか? - 日本郵便

 

したがって、この規制にかからないように、飲料の種類を特定できる程度に具体化する必要があるわけです。

たとえば、「ビール」「日本酒」などです。

焼酎などアルコール度数が高い酒を含む恐れがある場合には、規制に反しないアルコール度数であることを明示しなくてはなりません。

たとえば「焼酎(アルコール度数24パーセント以下)」など。

 

このように、品名が具体的かどうかを判断する上では、「その品名に禁制品を含む可能性があるか」という視点が役に立ちます。

 

 ⑶ 郵便局で問題になった具体例

ここまでは当たり前の一般論ですが、具体的な判断となると結構難しいです。

ここでは郵便局で実際によく問題となった記載を紹介しましょう。

 

たとえば、親戚の子供にアニメキャラの人形を送るとします。

特に電池で動くものではないため、禁制品であるリチウム電池含有の恐れもありません。そこで、品名欄にこう書きました。

 

玩具(リチウム電池なし)

 

一見良さそうですね。

でも、実はこれはアウト。なぜなら玩具には様々な種類があり、その中にはリチウム電池以外の禁制品を含む可能性があるからです。

 

たとえば玩具の中にはプラモデルなんかも含まれますが、この場合に禁制品として考えなくてはならないのは引火性物質である接着剤です。したがって「リチウム電池なし」というだけでは、禁制品含有の可能性を排除できないんですね。

 

そんなわけで、今回の場合には

人形(リチウム電池なし)

という程度に、具体的に書かなくてはならないわけです。

 

 ここまでをまとめると、アニメキャラの人形を送るときには、

・その品で前記した9項目の禁制品を含むおそれがないか確認

(人形の場合、電池含有の「おそれ」があるので、それを排除するために「リチウム電池なし」と記入)

・品名記載の際は、他の禁制品を含む恐れがあるような抽象化をしない(例:玩具)

という点に気をつければいいでしょう。

 

3 具体的表記の際の留意点

⑴ 型番表記は危険

上記のように考えると、品名は具体的に書けば書くほどいいように思われるかもしれませんが、そうでもありません。

 

「航空搭載の禁制品排除」という品名記載の趣旨からすると、品名の正体が分からないような具体的すぎる表記をするのはトラブルの元です。

 

実際に郵便局でよくあるのが、品名の型番を記載する事例。

たとえば、ネジの型番みたいなやつです。

発送者によっては、品名記載は受取人に向けて書くものと思っている人もいるので、むしろ中身の型番を相手方に強調するためにこのような表記をする人もいるわけです。

 

ところが品名記載はあくまで郵便局で見るものですから、わけの分からない型番記載が書いてあったら「正体が分からないものは航空搭載しない」という判断になりがちなんですね。航空搭載しない場合、一般に陸送や船便に振り替えられるので、半日~数週間到着が遅れます。

 

「品名を具体的に書いたのに、勝手に陸送扱いにされた」

というトラブルを避けるためには、やはり型番表記ではなく「ネジ」というように一般名称で書くべきです。もし型番を強調したいなら「ネジ(型番名)」といった表記にしたほうがいいでしょう。

 

もちろん「iPhone12 pro」のように広く定着した型番ならば、郵便局でも正体が分かるのですが、一般定着云々の限界はあいまいなので、やはり「携帯電話」の表記を入れた方が安全ですね。

ちなみに携帯電話を送る場合には、「携帯電話(リチウム電池なし)」と表記するか、リチウム電池を内包する場合、特別の手続き(※)をとるとゆうパックで航空搭載することができます。

 

(※特別な手続きについてはこちら)

リチウム電池をゆうパックで送る際の注意点はありますか? - 日本郵便

 

⑵ 専門的な一般名称について

型番記載を止めた方がいいと書いたばかりですが、たとえばグラフィックボードを送る場合、「Radeon RX6800」ではなく「グラフィックボード」あるいは「グラボ」と記載すれば航空搭載できるのでしょうか?

 

実はこれが難しい。

僕個人は、グラボに禁制品が含まれるとは思えないので、航空搭載しても問題ないとは思うのですが、残念ながら郵便局に共通基準がないので何とも言えません(集中局管理者の裁量判断による)。

 

このへんは雑な説明で申し訳ないですが、専門的な品名は型番表記と同様の考えで「正体不明なので航空搭載しない」という判断になりやすい、という認識は持っておいた方がいいです。

 

そして専門的かどうかの基準は、かなりレベルが低いと思ってください。

僕個人の感覚でいうと、中学生がみて中身の正体が分かるかどうかくらい。

 

前述のグラフィックボ―ドも、ゲーミングPCを扱っている人ならば常識ですが、この基準で見ると専門的な品名と判断されることが考えられます。

そうすると、「正体不明」「したがって禁制品含有の可能性がゼロではない」という理由で、航空搭載されない危険性が高いです。

 

4 まとめ

以上、航空搭載地域にゆうパックを送る際の品名記載について、ざっくりとした説明でした。

 

基本的には

  • 品名記載は、禁制品含有の可能性を排除する程度に具体的に書く
  • ゆうパックの航空搭載についてはかなり慎重なので、専門的な品名については適切に書いたとしても非搭載になることを覚悟しておく

といったことに留意しておくといいでしょう。

 

ブログの性質上、具体的な基準を紹介できないのは申し訳ありませんが、大まかな考え方だけでも参考になれば幸いです。

 

それでは、また。

 

 

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