こくごな生活

国語や法律のソフトな考察を中心とした日常雑記録

東京都立高校入試 作文問題における「筆者の主張」の捉え方

こんにちは。

 

僕は普段、中学生の作文を採点することが多いのですが、そのときによく感じるのが

筆者の主張が捉えられている作文が非常に少ない

ということです。

 

東京都立高校の入試でも、筆者の主張が捉えられているかどうかは非常に重要なポイントです。個人的な感覚では、平均的な答案と優秀な答案の違いは、このポイントをクリアしているかどうかによるところが大きいです。

 

では、「筆者の主張」を捉えている作文ってどんなものでしょう?

もちろん僕は本試験の採点官ではないので、明確なルールを断言することはできませんけど、今まで作文添削を続けてきた経験則上、個人的に思うところをまとめてみたいと思います。

 

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1 テーマについて筆者が説明している箇所である本文後半部分に注目している

例えば、平成30年度の東京都立高校では「自分の意志を持つこと」というテーマが出題されました。そこでこのテーマについて筆者が的確に説明している箇所を参照することになります。

 

そういう説明が書かれているのは、大抵本文の後半(特に最終段落付近)です。出題者目線からすると、本文の最後の方だけでも参照すれば受験生が「それらしいこと」が書けるようにすることで、問題が難しくなりすぎないよう調整しているということなのかもしれません。

 

平成30年度の問題でも文章の後半に、「自分の意志を持つこと」について筆者がまとめて解説している箇所があるので、まずはそこを参照することになります。

 

2 筆者の説明部分を「抜き出すだけ」はNG!

実は、テーマについて筆者が説明しているところを発見するところまでは、大抵の受験生ができているんです。

 

むしろ問題はその先。

その説明部分を理解していることを作文でどう表現するか?です。

 

生徒の答案を読んでいると、よく目につくパターンがこれ

 

「筆者は~といっている。僕もこの意見に賛成だ。」

 

う~ん。個人的にはあまり好きな書き方ではないですね。

このように本文を書き写しているような書き方をしていると、「本当に分かってんの?」と不安になります。この記述のあとで「どう賛成しているのか」が分かる表現があるならいいんですが、大抵この手の答案は、本文の抜き出しをしただけで筆者の主張を捉えたつもりになっているケースが多いです。これではダメ。

 

3 筆者の主張の理解が伝わるのは「体験」部分の書き方

なぜ2のようなことが起こるのかというと、自分の主張を書く部分で筆者の主張の理解をアピールしようとしているからです

主張部分という抽象的な表現をする箇所で筆者の主張の理解を示すのは非常に難しいことなんですよ。すると、難しいから本文の記述の抜きだしでお茶を濁す、なんてことが起こりがちなんです。

 

実は、筆者の主張の理解をアピールしやすいのは体験部分

筆者の考えに即した具体例があると、それだけは読み手は安心します。主張部分はその具体例をちょっと分析して、後は適当に今後の決意表明でもしておけば十分。

 

体験部分で筆者の主張を理解していることをアピールするためには、本文で書かれている主張部分を的確に表した体験を書く必要があります。

主張部分を読んで、具体的な例を思い浮かべられれば、それを解答用紙の前段で書いてしまいましょう。

 

もし具体例が思い浮かばなければ、本文の具体例を加工するというのも一つの手です。

例えば、平成30年度の問題では、自分の意志を持つことについて、謝罪の例が中盤あたりに出てきます。この謝罪の例を自分なりにアレンジして書けば、筆者の主張からずれにくい体験になります。

もちろん本文の書き写しはダメですよ。本文の具体例から体験の書き方を参考にするということです。具体的には、平成30年の作文問題を解説した記事を見てください。

 

 

bigwestern.hatenablog.com

 

4 結論を先に書くか、体験を先に書くか?

 「結論から先に書いた方がいい」というアドバイスをよく耳にします。

確かにビジネスメールなどの用件を伝えることが主眼の文章ではその通りかもしれません。あるいは、長い文章を書くときには、要旨があやふやになりやすく、「結局、何がいいたいの?」となりがちなので、まず冒頭で結論を出して、論旨を明確にする必要があるケースが多いです。

 

しかし少なくとも高校入試の作文は、そのような文章とは性質が違います。結論をそんなに早く知りたいわけじゃない。むしろ作文添削をしている立場からすると、筆者の主張を踏まえていることがすんなりわかる作文の方が安心します。

 

では、どういう作文が筆者の主張を踏まえていると思えるのか、というと、先ほど述べた適切な体験があるかどうかです。これを作文の前段に書くと、添削者側は「お、この答案は分かっているな」と好印象を持ちやすいです。

 

適切な具体例は、本当に分かっていないと意外と書けないものなんですよ。

例えば平成30年度の問題だって、ただ謝罪の体験を書くだけではダメで、他者から謝罪のきっかけを得たこと、及び謝罪の気持ちがそのきっかけから独立して自発的に湧きあがたことなど、ポイントを踏まえたエピソードが必要なんです。

逆に言えば、この部分を前段でしっかり書いてしまえば、その後の主張部分はそれほどこだわっていなくても(少なくとも僕は)悪い点数にはしません。

 

逆に、結論を先に書くと、その体験への「流し方」が難しくなります。

「私は筆者の~という意見に賛成だ。例えば、以前に・・(以下、体験)」

みたいに書いても悪くはないですが、個人的には、最初の一文ってそんなに意味がないと思うんですよね・・。賛成かどうかという結論よりも、筆者の主張を捉えた内容が欲しいんですよ。だって国語の問題の解答なんですから。

 

そんなわけで、僕は結論よりも体験を先に書くことをお勧めしますね。つまり

前段:体験

後段:主張(体験を分析して結論を出す)

というパターンがいいと思います。

 

もちろんこの型にあてはめること自体が目的になっては困りますが、書きだしに困ったときの参考にしてみてください。

 

それでは、また。