こくごな生活

国語や法律のソフトな考察を中心とした日常雑記録

平成30年センター試験・国語第1問の問題文を講義風解説

こんにちは。

 

今回は、前回のセンター試験の話題の続行です。

 

bigwestern.hatenablog.com

 

前回僕が解いてみた平成30年度のセンター試験国語について、今度は具体的に第1問の本文を見ていくことにします。

 

問題文はこちら

 https://www.dnc.ac.jp/albums/abm.php?f=abm00033249.pdf&n=h30+kokugo.pdf

 

まず今回の文章の題材をみてみましょう。

有本典史・岡部大介「デザインド・リアリティ―集合的達成の心理学」

 

デザインドリアリティ[増補版]―集合的達成の心理学

デザインドリアリティ[増補版]―集合的達成の心理学

 

 2013年10月に発売された文化心理学の本です。ずいぶんマイナーな本で、アマゾンレビューも閑散としていますね。もちろん僕もこの本は知りません。

今回の問題で興味をもった人は一冊どうぞ、といいたいところですが、今回の問題でこの作品を好きになった人はどれくらいいるだろうか・・。

 

さて、そんな本から出題された今回の文章を見てみましょう。

著作権の問題があるので文章を抜粋することはできませんが、必要に応じて引用の範囲で表現を借用することがありますので、ご了承ください。

 

この文章は、頭から順に闇雲に詰め込んでいくと混乱するはずです。

中盤以降、「アフォーダンス」だの「心理学ダッシュ」だの、その言葉自体でイメージが湧かない表現が増えていき、消化不良を起こしやすいから。こういう表現は、文章の他の表現などを参考にして、「要はこんなことなんじゃないかな」という自分なりのイメージをもっておくことです。

 

他の表現を参考にするためには、文章全体の構成を把握しておく必要があります。

さっそく文章の全体構成を見てみましょう。問6のⅱにも関連することですね。

 

第1段落~第4段落:学校の授業の例

 

【主旨】

授業の多義性は「授業者の宣言」によってその意味が絞り込まれる

 

この部分については、ついてこれた受験生も多かったんじゃないでしょうか。

普段、授業を受けたことのある人なら比較的イメージがもちやすい例ですね。

 

第1段落・第2段落で、「宣言」により授業が暗記の対象になっていく例、第3段落・第4段落でその例の分析をしているという構造です。

 

第5段落~第8段落:デザインの意義

【主旨】

デザインとは、人間が与えられた環境に手を加えて加工すること

 

ここからしばらく抽象的な記述が続きます。ちょっとしんどくなる人もいるかも。

こういうときは、ちょっと段落を細かめに区切って小休止をし、その度にテーマを整理していくといいです。段落の切れ目には特に絶対の正解はありません。ぼくはデザインの意義の総論を述べ終わった第8段落で、いったん切れ目を入れました。

「あ~、デザインって、人間が手を加えることね」

くらいのことが分かれば、ここでは十分。

 

第9段落~第15段落:デザインの効果

【主旨】

デザインは対象に異なる秩序を与える

 

「人間が手を加える」とその物はどうなるのか、をこの辺りで述べています。本文のヤマ場のひとつですね。僕も内容把握にはエネルギーを使いました。

 

本文の内容がねちっこいので、もう少し分けて整理しましょうか。

・第9段落:デザインで対称の秩序は変わる

 内容把握するには、筆者の具体例を利用してください。5行目にあるように、「そういえば、講義の例も同じだな」くらいに思えれば大丈夫。

   ↓

・第10段落~第13段落:物の秩序が変わることで、扱う人はどう変わるか

 第9段落で述べたデザインの効果を、「モノを扱う人」の視点から掘り下げて述べています。つまり①モノからみてとれるモノの扱い方の可能性についての情報が変化、②それにより人のふるまいや心も変化する、ということです。

 アフォーダンスなどの横文字にビビらないように。「筆者の知識自慢」と割り切ること。特に①については第11段落の例が分かりやすいので、そこからイメージを持ってください。

   ↓

第15段落:デザインの効果についてのまとめ

 コーヒーカップの例が暴走しないように、筆者はここでデザインの定義の話に戻って、その効果についてまとめています。ここでもたくさんの例が書かれているので、ここで「対象の異なる秩序を与える」とはどういうことかについて理解を補っていきましょう。

 

第16段落~最後:デザインの効果と心理学

【主旨】

デザインによって変化した行為こそが人間の本質である

 

文化心理学らしく、ここから「そもそも人間とは~」みたいな話に発展していきます。

まず第16段落で、デザインによって変化した行為を「行為ダッシュ」と名付けていますね。この言葉だけで論旨を理解しようとしてはいけません。そんなの僕にだってできません。同段落の3行目の「例えば」以降や、17段落の例えを使って、「行為ダッシュ」というわけの分からない言葉についてイメージを補ってやりましょう。

 

そして、18段落以降で、このように「ダッシュ」をつけることが人間の本質であるみたいなことが書かれています。そしてそのことに無自覚な心理学は批判される、といっているわけです。

 

 

さて、以上に書いた主旨を振り返ってみましょう。

要は、モノを加工して独自の意味を持たせることがデザインであり、それをすることが人間の本質といいたいんです。

例えば参考書にマーカーを塗るとき、苦手な分野にはマーカーが多くなったりしますよね。その時点でその参考書はその人にとって、その苦手分野を克服するための道具として「意味づけ」されるのです。

今回の文章は、そんなことを文化心理学的に広げて話しているだけ。

 

これだけごちゃごちゃしている文章ですが、言いたいこと自体は単純なんです。

難解な語句に振り回されず、その単純なメッセージ(骨子)に気づけば、読解は成功したようなものです。

 

ただし、その骨子の形を正確につかむためには、段落ごとに整理して読み進めるという作法が必要なわけです。単純なメッセージを掴むとは、いい加減に読むということではありませんので、そこは誤解しないように

 

話が長くなってしまったので、設問の解説は以下の記事に譲ります。

bigwestern.hatenablog.com

 

ここまでお付き合いくださって、ありがとうございました。