こくごな生活

国語や法律のソフトな考察を中心とした日常雑記録

高校受験の作文答案を年間1万通添削している人間の採点雑感

こんにちは。

 

今回は、主に高校受験生が書く作文について添削するたちがから感じた雑感のようなものを書きたいと思います。

 

なお、この記述は、あくまで私の個人的な感想であり、本試験や特定の模擬試験の採点基準とは一切関係ありません。あくまで一般論であり、参考程度に受け止めてください。

 

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1 採点者がどんな状況で採点しているか

僕の場合、模擬試験をはじめ様々な中学生の作文を採点することが多いです。

 

特に今のような入試シーズンになると、一日数百枚採点することが毎日のように続きます。もちろん他の業務を抱えながらの作業ですので、深夜の1時を超えても答案を向き合うなんてことも決して珍しくありません。

正直、ヘビーに感じるときもありますが、作文は単純な○×問題と異なり、ちょっとでも手を抜くと点数がぶれたり誤字を見逃してしまうことがあるので、集中力を絶やしてはいけません。

 

答案を書く人に分かってほしいのは、答案を見る相手がそんなギリギリの状況で採点しているかもしれないということです

 

つまり、

  • 文字は大きめに明確に書く
  • 伝えたいことは流し読みしてもわかるくらいにはっきり書く

ということを心掛けてほしい。

 

答案の中には豆粒のような字で書く人が散見されます。

これでは漢字があっているかどうかよくわからないので、じっくり読むことになります(小さく書けばごまかせるというのは甘い!)。採点者にとっては小さい字でイライラしているせいか、内容について欠点が見えやすくなります。これでは回答者にとってもいいことはありませんね。

 

また、採点者は一通当たりの添削にそれほど時間をかけていられないので、書くべきポイントを明確に書いていない答案は見落とす可能性が高いです。

もちろん採点者としては、雑な添削にならないように気をつけてますが、解答者としては微妙な表現は避けるべきです。

 

 2 レベル別に見た答案の雑感

つぎに答案の出来ごとに大まかな感想を述べたいと思います。

概ね東京都立高校入試の問題を念頭に分類していますが、作文問題全体に通じる内容ですので、答案を書く側である生徒さんにも参考になるところがあれば幸いです。

 

⑴ 7割~満点 の答案

よくできている答案のグループです。このクラスの答案が安定して書ける人は作文能力が高く、もはや私が言うことはありません(笑)。

 

ただし、一つ注意しておくべきところがあります。試験の種類にもよりますが、一般に作文問題は満点を狙いすぎないでください。特に国語が好きな人、若しくは得意な人は要注意です。

 

 作文の問題は、採点の性質上、採点者によって微妙に点数のさじ加減が違います。厳しめの人もいれば甘めの人もいるということです。もちろん、ちゃんとした試験ならば採点基準というものがあって、採点が不公平にならないようにしていますし、人によって極端に点数が違うということが起こらない工夫はしているはずです。

 

しかし、それでもほんの1,2点の差であれば、どうしても誤差が出てくるのは、ある意味仕方がないことなんですね。採点者の感覚まで完全に一致させるわけにはいきませんから。そうだとすると、例えば「なぜこの答案が10点満点ではなくて8点なんだ!」と憤っても、あまり意味がないのです。

その答案も、周りの受験生の出来や採点者の性格などが違えば、ひょっとすると満点になっていたかもしれません。

 

受験生としてはそんなあいまいな違いにこだわって、余計なエネルギーを使うくらいなら他教科の勉強に意識を向けた方がよいです。作文で8割は立派な点数ですので、次回以降も安定してそのくらいの点数が取れるよう努力すればいいのです。

 

ちなみに、私は極端に低い点数をつけない代わりに、満点も滅多につけないタイプです。採点をしていて、「この答案、よくかけているな。」と思っても、この後もっと素晴らしい答案があるかもしれません。そんなことを考えると、満点はそういう答案にとっておきたくなります。

 

これは、ちょっとでもよくかけていると思う答案に、手当たり次第満点をつけてしまうと、平均点が上がりすぎてしまうし、本当によくかけている答案と比べて不公平になってしまうからです。その意味で、作文は一般に満点がつけづらい分野だと思います

もちろんこれも採点者や試験の種類によって考えが微妙に変わってくるのは、さきほど述べたとおりですが。

 

⑵ 4割~6割の答案

平均的な答案です。

といっても問題の難易度によっては「平均点」のレベルは微妙に変わってきます。あくまで大体の目安だと思ってください。

 

  このグループの答案は、やはり大事な項目を1つ落としていることが多いです。

例えば体験や意見の部分を落としている場合が挙げられますね。

 

しかし、一番多いのは内容のポイントがずれているケースです。指定された段落に書くべきものを書かなかったり、東京都の問題でいうと筆者の主張内容を理解しないまま解答したり、といったものです。ちなみに東京都立高校入試における筆者の主張の捉え方については、別記事で詳細に論じているので、そちらを参考にしてみてください。

 

bigwestern.hatenablog.com

 

⑶ 3割以下の答案

残念ながら要努力レベルの答案です。といっても、この類の答案は以下のようなタイプに分かれます。

 

① そもそも書く気がない

書いていたとしても明らかにふざけたことを書いている答案、あるいは時間切れというわけでもないのに書くこと自体を放棄してしまった白紙答案です。

こういう答案の場合、生徒自身が国語及び勉強そのものが嫌いな場合があるので、日ごろから国語に関する分野に興味を持ってもらうような学習法を工夫する必要があります(実はそれが一番難しいのですが)。

 

ただ、採点者の立場からいわせてもらうと、とにかくそれらしいことを何か書いてください。採点をしているとき、白紙答案やふざけた答案は容赦なく0点を付けられますが、書く姿勢さえ見せれば、何点か与えるチャンスを考えるものです。まじめに書いている作文に0点を付けるのは、実は採点者でも勇気がいるものなのです。

 

② 時間切れ

 途中答案になって答案の体をなしていないケースです。これは、作文の対策不足というよりも、過去問の対策不足が原因です。時間配分は実際に過去問を使って回答するシュミレーションをしないとうまく調整できないものです。

 実力はあるのに、時間切れで配点の高い作文を書くチャンスを逃してしまった、なんて一番悔しいですよね。問題をすべて解き切るトレーニングがいかに重要かということです。

 

⓷ 完全に的外れの答案

 まじめに書く姿勢さえ見せれば0点にするのは難しいと述べたばかりですが、それでもまれに0点にせざるを得ない答案に遭遇するときがあります。書く内容がずれを通り越して全く的外れになっている場合です。

 答案を書く際には、本問で何を聞かれているか、ということを確認しながら書くようにしましょう。自分の書きたいことだけに夢中になってはダメです。

 

④ 誤字・脱字が多すぎる

 各本試験で誤字・脱字が減点対象かどうかは、確証がないので何とも言えませんが、減点している可能性は大です。

 

誤字や脱字は客観的で明確な間違いの根拠なので、採点者は内容以上に自信をもって減点できます(私も、採点の際はこの点を丁寧に見ているつもりです)。漢字の問題じゃないから作文の漢字は適当でいいや、なんて思わない方がいいですよ。

 

汚い文字も感心はしませんね。それだけで減点になることはおそらくまれでしょうが(もともと読みにくい字を書く人もいるので、減点対象にしづらい)、読み手としては印象が悪いです。

 

文字が汚いと、読む側としてはすらすら読めないので時間がかかります。そうすると解答にアラが見えやすくなってしまい受験生にとっても損です。これは先ほど述べた小さい字の場合と同じですね。

 

4 まとめ

以上、採点者の立場から高校受験の作文答案について雑感を述べてみました。

 

割と細かく書いたので面食らった人もいるかもしれませんが、少なくとも高校受験レベルならば丁寧でわかりやすい答案であれば平均以上の評価を得ることはそれほど難しいことではありません。

逆に言うと、変に内容にこだわって難しすぎることやひねくれたことを書くと、かえって失敗してしまいます。

 

究極的にいうと、とにかく素直でわかりやすい答案を目指すのが無難ですね

 

今回の記事が何かの参考になれればと思います。

それでは、また。