こくごな生活

国語や法律のソフトな考察を中心とした日常雑記録

平成29年度東京都立高校入試の出題趣旨を読む

公立高校入試の時期が近づいてきました。

最終的な入試対策の追い込みで、何かと大変な時期だと思います。健康に気を付けて頑張ってください。

 

この時期は、暗記系科目の知識詰め込みやら数学の演習やらで手いっぱい。国語なんてやってられない、という人もいるかもしれませんね。

 

たしかに、この時期に根詰めて国語を勉強する必要はありません。

しかし、実際の解答を行う際の心構えを今からチェックすることは可能です。これを怠り見当違いの姿勢で入試に臨むと、とんでもないミスを起こす可能性があるので、地味なことのようですが確認しておきましょう。

 

入試に臨む際の心構えを考える際にヒントになるのが、問題の出題趣旨、公式ホームページでは出題の基本方針などといわれているものです。要は、出題者がどういうつもりでこの問題を作ったか、ということですね。

公立高校入試の場合、今は多くの都道府県で過去問の出題趣旨を公開しています。ネットでも見れますので、ぜひ覗いてみてください。

 

www.kyoiku.metro.tokyo.jp

 

公立高校入試の場合、生徒自身がこの出題趣旨を読むことはまれでしょうね(学習塾をはじめとする教育関連業者は要チェック情報なんですが)。

 

余談ですが、司法試験などの難関国家試験を受験する人たちは、この出題趣旨を徹底的に研究して、自分で今後の勉強方針を練り上げていくという作業を欠かしません。出題趣旨からズレた勉強は危険であると思っている証拠ですね。

 

今回は、公立高校入試で、ちょっとその作業を体験してみましょう。

 

 

まず、平成29年度国語科目の出題趣旨は以下のとおり(重要なところは下線・赤字にしてあります)。

 

1 出題の方針
国語を適切に表現正確に理解する能力をみるとともに,伝え合う力思考力及び想像を総合的にみる。


2 各問のねらい 
① 漢字を正しく読む能力をみる。
② 漢字を正しく書く能力をみる。
③ 文学的な文章を読み,叙述や描写などに即して,語句や文の意味,登場人物の様子,  心情などを正しく理解する能力をみる。
④説明的な文章を読み,叙述や文脈などに即して,語句や文の意味,文章の構成及び要旨などを正しく読み取る能力をみるとともに,考えが正確に伝わるように構成を工夫しながら,相手や目的に応じて自分の意見を論理的に表現する能力をみる。
⑤ 対談を含め,古典を引用した複数の資料を読み,古典並びに現代の語句及び資料の内容について理解する能力をみるとともに,発言の役割を理解することを通して伝え合う力をみる。

 

まず、1の出題の方針についてです。

国語を「適切に表現」、「正確に理解」するとは、それぞれ記述・作文問題、及び読解問題で試されますね。これは2で具体的にみていきます。

「伝え合う力」というのは筆記試験ではなかなかイメージしづらいのですが、状況に応じた表現を使って文章を書く力、と解釈すればわかりやすいでしょう。例えば、「傍線部の記述を踏まえて、~を説明しなさい。」などの問題の場合、傍線部の記述を踏まえずに、自分勝手な内容の文を書くと、「こいつ、コミュニケーション能力ないんじゃないか?」と思われてしまう危険性があるから注意しなさいよ、ということです。

「思考力」及び「想像力」も試されていると書いてあります。読解問題の文章を読んでいると、「ああ、これはつまりあのことを言っているんだな。」と、自分の実体験や今まで得た知識に引き寄せて内容を理解することがありますよね。これが「想像力」です。正しく文章の内容を捉える「思考力」がないと、「これは、あのことだ」とイメージできませんから、「思考力」と「想像力」はワンセットといってもいいでしょう。言い方を変えると、文章の内容から脱線した内容をいくら頭の中で思い浮かべても、それは想像ではなく、妄想です

 

次に2についてです。

①と②は漢字や語彙の問題なので、今回はパス(いずれ記事にします)。

③は小説の問題のことですね。小説は難しい語句が使われることがすくなく、比較的内容がイメージしやすい分野なので、受験生の間でもそれほど苦手意識はないようです。しかし、だからこそ、登場人物の心情などを自分勝手に解釈してしまい、誤答してしまうケースも多いのです。登場人物の心情や状況は、あくまで叙述や描写に即している必要があります。平たく言うと、なぜその答えになったか問題文を使って論理的に説明できますか?ということです。

④は論説文です。論説文は堅いイメージがあり、苦手な受験生も多いのですが、文章の構造を掴んで段落ごとに整理しながら読み進める訓練をすれば(つまり読解が正確にできていれば)、正解にたどり着くこと自体は割と簡単なケースが多いので、あきらめないでください。「叙述や文脈などに即して,語句や文の意味,文章の構成及び要旨などを正しく読み取る能力」とは、このブログの記事で説明している「読解力」そのものです。

「考えが正確に伝わるように構成を工夫しながら,相手や目的に応じて自分の意見を論理的に表現する能力」とは、記述問題、作文問題で試されますね。作文問題については別記事で、丁寧に説明します。ただ、ここで注意しておきたいのは、作文を書く際、「相手や目的に応じて」表現しなくてはならないということ。前の記事でも少し触れたことがありますが、問題文の条件を無視した記述はどんなに一生懸命書いても点数はやらないぞ、ということです。本試験会場では時間との戦いなので、ついつい焦って指定された条件から脱線した答案を一生懸命書いてしまうことがあります。これでは時間だけ使って点数は一切もらえない、という最悪の事態になってしまうので、いまからちゅういしておきましょう。

⑤は古典の問題ですが、少なくとも公立高校入試レベルでは、そんなに細かい古典知識はきかれないので、普段の授業で習った古典知識をおさらいするくらいで十分です。もちろんそれぞれの勉強の進み具合にもよりますが、基本的には古典にこだわり過ぎるくらいなら、英語や数学を頑張った方がいいと思われます。

 

以上、我ながら結構くどい文章になってしまいましたが、重要なところは下線を引いておいたので、是非参考にしてみてください。