読書感想文の「材料さがし」のやりかた ~何を書けばいいかさっぱりわからない人へ~
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こんにちは。
読書感想文というのは、大変国語の勉強になる有意義なものです。
・本のあらすじを掴む
・その内容を分析する
・自分の見聞を織り交ぜながら意見を述べる
などなど、まさに国語学習の総合デパートといっていいほどの内容です。
その意味で読書感想文は、しっかり取り組めば国語の学習効果がかなり高まることが期待できます。
しかし現状の学校教育では読書感想文に本腰を入れて取り組むのは、カリキュラムの都合もあってなかなか難しいです。
実際には、書き方の指南もできないまま課題を出し、書かせて提出したらそれっきり、なんてことも珍しくないでしょう。
これでは読書感想文を課される方も気の毒です。
そこでこのブログが少々お手伝い。作文添削者である僕が、読書感想文の書き方について少々述べておきたいと思います。
書き方の説明についてはいろいろな切り口があると思いますが、今回はそもそも何を書いたらいいかわからない人へ、書く材料を見つけるやり方を中心に説明したいと思います。
読書感想文を書く材料は
・本の中から拾ってくるもの
・自分の頭で考えるもの
に分けられますので、以下で分けて解説していきます。
1 本の中から拾ってくる材料について
㈠ まずテーマがわかりやすい本を選ぶ
自分の興味のないテーマや、何が言いたいのかわかりづらい内容の本について「感想を述べよ」なんて言われたら、僕だって困ってしまいます。
つまり読書感想文の書きやすさは、本選びの段階で大体決まってしまうのです。
本が指定されている場合は別ですが、自分で選べる場合は、できるだけ自分が書きやすいテーマのものを選んだ方がいいでしょう。
ここで選ぶポイントは
① 自分の興味のある分野か
② 本が伝えたいことがわかりやすいか
などが挙げられます。
①について
どんなに有名な本でも、自分が興味のない分野の本は選ばない方が賢明でしょう。
自分の興味のあるテーマならば、本の内容を理解しやすいですし、自分に知識や見聞があるので意見も述べやすいですからね。
特に感想文を書くことになれていない人は、選んだ本に自分を合わせるのではなく、自分にあった本を選ぶことを心がけた方がよいです。
②について
本を読むのが面倒だからといって、薄い本ばかり選んでしまうことがありませんか?
しかし読書感想文の場合、本の厚さではなく伝えたいことの分かりやすさで選んだ方が、作文をかくときに楽です。
読書感想文の指定図書は、教育上の観点から選ばれてますので、伝えたいことが明確なものが多いですが、自分で本を選べる場合であってもそういう本を選ぶようにしましょう。
読書感想文の題材になるのは大抵物語です。
そして感想文が書きやすい作品は、
・主人公がどのように変化・成長したか
・主人公の成果(何を成し遂げたのか)
等の大テーマがはっきりわかるものなんですね。少なくとも中学生以下の読書感想文ならば、課題を出す側もこの視点で本を指定することが多いです。
これに対し、物語の中にはこのような骨太なあらすじが見えづらいものも多いです。
たとえば夏目漱石の「吾輩は猫である」はとても有名ですが、これを題材に感想文を書くのは結構難しい。この作品は主人公の苦沙弥先生のとりとめもない日常を綴ることで近代文明の評論をしているので、感想をかけるような取っつき易いテーマが見つけづらいのです。
あくまで読書感想文の本は、本の厚さや知名度ではなく、伝えたいことの分かりやすさで選ぶ方がいいです。
そのような本を選ぶためには
・アマゾンのブックレビュー
・文庫本の解説や裏表紙などに書かれている紹介文
等を参照して、できれば実際に本を選ぶ前に、ざっと試し読みして読みやすいかどうか確かめてみるといいでしょう。
㈡ 書くべき材料を拾う
さて、実際に選んだ本を読むときには、作文に使えそうな箇所、つまり材料となる部分を拾っていくことが必要です。
材料さがしについては、気になった場所に付箋をしたりマーカーで線を引いたりするなど、いろいろな方法が紹介されています。
しかし、ここで大事なのはどんな材料を集めるかです。ただ気になったところを漠然とマーカーで塗りつぶしても意味はありません。テーマに関係がありそうな素材を拾っていくことが必要なんですね。
たとえば、偉人の伝記の場合、何かを成し遂げたという骨格となる大テーマがあります。そのテーマを書くにあたって使えそうな部分を拾っていくわけです。
例えば、困難を乗り越えるとき、主人公が助けてくれた友人にどう接したかなどは、本の大テーマに関係しそうなのでピックアップしておきます。
これに対し、主人公のその日食べた夕飯が美味しそうだった、みたいなことを気にしても、そんなものは読書感想文の素材になりません。
このように、気になる部分なら何でもマークすればいいというわけではなく、本の大テーマと関係しそうか、という視点を持って材料さがしをすることが大事です。
㈢ 拾った材料の取捨選択
そして読書後、実際にあらすじを把握したら、改めて自分が拾ってきた材料を取捨選択していきます。
読書が終わったら、大テーマに対して自分がどういう教訓を得たか(小テーマ)が何となくわかったと思います。その小テーマに基づいて作文で書くべき材料を整理していくのです。
たとえば、主人公が何かを成し遂げたという大テーマに対し、
・困難に接したときの友人のありがたさ
・成功するために必要なこと
のような、気づきがあるはずです。
その気づきのきっかけになった箇所などは、作文に使える素材ですのでピックアップして、大して関係なさそうな箇所は、仮に印をつけた場所であっても切り捨てて構いません。
ここまでをまとめると
本でいいたいこと(大テーマ)をあらかじめザックリ把握
↓
本を読みながら大テーマに関係しそうな素材を大まかに拾っていく
↓
読了後、自分の気づき(小テーマ)をもとに拾った素材を整理していく
ということですね。
2 自分の頭で考える材料について
読書感想文で使えそうな箇所を本の中から拾って来たら、その箇所について自分がどう思うのかについて書かなくてはなりません。これが自分の頭で考える材料です。
これがないと、読書感想文が単なるあらすじの紹介や本の記述の抜きだしになってしまいます。内容ある作文にするためにも、自分の頭で考える材料もしっかり準備しておきましょう。
自分の頭で考える材料は、本で書かれた箇所を【評価】・【分析】することで生まれます。
決してゼロから自分の意見を創作してやろうと思ってはいけません。そのへんのテーマは過去記事で紹介していますので参考にしてみてください。
読書感想文の例にしてみましょう。
たとえば、主人公は困難に遭ったとき友人と協力したシーンがあったとします。
これに対して「共感した」のであれば、それが【評価】です。そしてどうしてそう思ったのか理由を述べるのが【分析】ですね。
共感したと思うなら、それに関連する体験や見聞があることが多いです。
理由を述べる際には、そのエピソードを書いて自分と主人公を対比させるといいでしょう。
たとえば
「自分も同じように、友人と協力して部活動の大会で優勝できた」
「自分は主人公と違って、友人と協力できずに失敗した」
といったことを書くわけです。そのうえで、「困難に立ち向かうには仲間の協力が大事だとわかった」という結論をかけば、内容にオリジナリティが出てきます。
この評価や分析が甘いと、単に「面白かった」「つまらなかった」の一言で終わってしまいます。「何故そう思うのか」について、体験を交えるなどして内容を充実させるようにするといい作文になります。
3 まとめ
以上、読書感想文では、
・本の記述からテーマにあった記述を拾う
・あらすじから得た教訓から拾った記述を取捨選択
・その記述について評価・分析を加える
ことで書くべき材料が見つかるというお話でした。
実際にはこの材料を使ってどう作文をまとめていくか、ということも大事なのですが、そういった「書き方」については、次回以降で追って記事にしたいと思います。
とりあえずこの記事では、「書くべきネタはこういうふうに見つけていくんだな」ということが伝われば幸いです。
それでは、また。