こくごな生活

国語講師だったひとのつぶやき集

作文・小論などの論述問題で参考答案をどう利用すべきか

こんにちは。

 

今回は論述問題における参考答案について思ったことを書きます。

 

僕もブロガーっぽいことをやっていますので、訪問者の検索ワードをたまに調べてみることがあるんですが、そうすると「東京都立高校入試 作文 参考答案」みたいなワードがちょくちょくでてきます。

どんな人が検索しているかまでは分かりませんが、作文問題で参考答案を欲しがっている人間が一定数いることは確実なようですね。

 

参考答案を欲しがる理由はいろいろあるでしょう。

生徒の立場なら勉強の便宜のため(あるいはカンニングのネタ探し?)

教育関係者なら教案や教材研究のため

などでしょうか。

 

しかし一方で、参考答案は正解の丸暗記を助長させるものであるとして、好ましく思っていない人もいるようです。

つまり参考答案については、個々の教育者の方針によってかなり扱い方が異なるものなんですね。

 

しかし作文等の論述問題を学習する人間にとって、人によって扱いがバラバラでは困ります。そこで今回は、参考答案の是非やその利用方法などを整理してみることにした次第です。

 

f:id:bigwestern:20181226111753j:plain

 

1 参考答案はやはり必要

まず、そもそも参考答案が必要かという問題についてですが、これは必要と考えます。学参業界をはじめとする学習支援業では、論述問題に参考答案をつけることは、ほぼ当たり前に行われていますので、これは通説に近い多数説とみていいでしょう。

 

僕のブログでも、都立高校入試の作文問題を解説することがありますが、その際には参考答案を付けています。

bigwestern.hatenablog.com

 

作文などの論述問題は、決まった形の正解がありません。つまり目指すべき「形」が見えづらい分野なんです。そんな状態のまま、例えば「いい作文を書きなさい」と指導しても教育効果は薄い。これは僕自身が教える立場でも学習する立場でもそう思います。

 

参考答案をつけることで、完成形へのイメージを作ることができます。

完成形へのイメージを持つのは、作文などの論述問題に限らずスポーツや芸術などの学びでも同じですね。まずは一定の型を目指して真似てみて、そこで培った技術を昇華させてオリジナルを作っていくというのは学習の基本です。

参考答案は、学習者が盲目的な学習をしないように一定の真似るべき型を提示し、学習の指針を与える働きをするという意味で、重要なものだといえます。

 

その意味でいうと、「参考答案を使うと正解の丸暗記を助長する」という批判は、必ずしも正しくありません。

誤解を恐れずに言うと、暗記するだけでよい文章が書けるならそれは一つの能力です。単語を暗記するならともかく、作文などのまとまった文章を丸暗記するのは結構大変ですよ。それこそ参考答案の構造や使われている語句、文節の区切り方まで完全に頭に入れなくてはならない。

そして暗記するにしても一字一句覚えていることなんて不可能でしょうから、解答の際には、覚えているパーツを組み合わせて自分でその場で文章を再構成しなくてはなりません。実は、覚えている記述を組み合わせて文章を組み立てるというのは、国家試験をはじめとする大人の試験や仕事上の文章作成で必要な力なんです

皮肉っぽく言うなら、そんな暗記を一生懸命できるのであれば、それはそれで文章力向上の訓練になります。もちろん場当たり的にいい点数を取るためだけに一夜漬けの丸暗記をするのは意味がないですが、本気で参考答案を研究する過程で書いてある内容が頭に入ったのであれば、それは応用がきく知識として役に立つはずです。

 

2 「参考答案を丸写ししてもいいよ」と言われた司法試験ゼミ

参考答案を研究するという点では司法試験の論文でも同じようなことをします。

ちょっと極端な例ですが、僕が経験した司法試験の論文ゼミでは、「参考答案を丸写ししてもいい」とまで言われたことがあります。

 

司法試験の初心者は、なにを書いていいか右も左もわからないので、まっさらな状態で論文を書かせてもゼミの素材にならないような頓珍漢なものになってしまいがちです。

それならいっそのこと参考答案を大いに利用して「自分がどういう解答が最高だと思うのかを形にしてもって来い」というわけですね。

 

参考答案は司法試験合格者が書いたものですから、形式的には「正解」なはずです。その正解を長時間かけて再構成するわけですから、もちろん出来上がった答案は最高の出来のはず。

 

・・ところが出来上がった答案を指導教官に添削してもらうとコテンパンにやられるんですね。

「なんでこんな表現にしたの?」

みたいな質問をギュウギュウに浴びせらえるわけです。

もちろん「参考答案にそう書いてあったからです」なんて答えは通用しません。自分がなぜそれを参考にしたのか、どういうところがいいと思ったのかを自分の頭で考えて回答しなくてはなりません。僕はそんなゼミのやりとりで、いい論文とは何かを学んでいったのです。

 

3 参考答案は「本気で」参考にして初めて意味がある

ここで何が言いたいのかというと、それくらい参考答案を真剣に「参考」にしたことがありますか、ということです。参考答案を見て一時的なカンニングのネタにしたり、「あー、大体自分の答案と合ってるからいいや」と読み流したりしてませんか?

 

司法試験の例は極端かもしれませんが、作文をはじめとする論述問題では、参考答案から次回以降に論述をするときにヒントになるノウハウを盗み取ってほしいんです。だからこそ僕は参考答案が必要だと思っているわけです。

 

そんないい意味での参考答案の研究ができるためには、実は参考答案は複数あった方がいいんです。参考答案が1つだけだと、それが正解だと思って思考停止になってしまいます。できればよくできた答案を何通も用意して、そこから共通しているものを盗み取ってほしい。

僕は作文添削を通して、全国の生徒さんの優秀答案を何百通も読んでいます。そうすると頭の中に優秀答案のストックが沢山のこるので、それが自分自身の勉強にも役立つんです。それに近い経験を作文問題などを解く生徒さんにもしてもらえればかなり有益だと思います。その意味では、作文などの学習では複数のいい答案を持ち寄ってプチゼミみたいなものをするのが理想なんですが・・実現するのは難しいかな。

 

しかし、そこまでいかなくても、参考答案を丁寧に「参考」にするという姿勢を持つだけでもだいぶ学習効果が上がると思いますよ。

 

以上、参考答案に関する私見でした。

 

それでは、また。