こくごな生活

国語や法律のソフトな考察を中心とした日常雑記録

国語一般

文化庁vs国語辞典 ~不適切な日本語の扱いで板挟みにあう作文採点者~

こんにちは。 前回に引き続いて(※)中学生の作文を採点する者として、ちょっとした雑感を書きたいと思います。 ※前回の記事 bigwestern.hatenablog.com 中学生の作文をみていると、ちょくちょく不適切な表現をみかけます。 これに対して作文採点者としては、…

「全然大丈夫」という表現を減点しなくてはならない作文添削者の戸惑い

こんにちは。 僕は元予備校講師なので、その経験を生かして現在でも全国の中学生を対象とする作文採点をする機会が多いです。 添削対象は大抵高校入試の模擬試験なんですが、試験によっては「言葉の使い方」を厳しくチェックするものも少なくありません。 そ…

高校の教科書ではなぜ「羅生門」ばかり掲載されるのか?国語講師・学参編集者の視点で考察する

こんにちは。 みなさんは高校時代の国語教科書で読んだ文学作品について覚えているでしょうか? 代表作としては「こころ」(著:夏目漱石)、舞姫(著:森鴎外)などなど挙げられますが、高校の国語は大抵この作品で始まるのではないでしょうか。 羅生門(著…

国語の勉強法を具体的に解析する~国語力というあいまいな言葉に惑わされないために~

こんにちは。 国語を教えていると「国語力を上げるにはどうしたらいいのか」という質問を受けるときがあります。 ネットをみても「国語力を上げるための勉強法」といった内容を解説したコンテンツが散見されますね。それだけ国語力を上げることに興味がある…

枕詞の意味を楽しく理解したいなら 「枕詞の暗号」という本を読んでみよう

こんにちは。 今回は、枕詞を丸暗記でなくちゃんと理解したい人にお勧めの本について書きます。 枕詞は、和歌の飾り言葉とされていてそれ自体に意味がないとされていますが、ただ丸暗記をするだけでは面白くありません。 もちろん教える側としても無味乾燥な…

「テメエ」がなぜ見下し表現なのか?一人称が二人称になるときについて考える

こんにちは。 今回はこの言葉について考えてみたいと思います。 手前 考えようによってはふしぎな言葉です。 ・自分のこと相手のこと両方を表す ・自分のことを指すときは謙譲的なのに相手のことになると見下したようになる なぜこんな奇妙なことが起こるの…

読書感想文の「材料さがし」のやりかた ~何を書けばいいかさっぱりわからない人へ~

こんにちは。 読書感想文というのは、大変国語の勉強になる有意義なものです。 ・本のあらすじを掴む ・その内容を分析する ・自分の見聞を織り交ぜながら意見を述べる などなど、まさに国語学習の総合デパートといっていいほどの内容です。 その意味で読書…

「行間を読め」じゃ、分からねーよ ~国語を分かりやすく教えるってどういうこと?~

こんにちは。 今回は、分かりやすい国語(特に現代文)の授業ってどんなもの?というお話です。 国語のようにとりとめもない世界を分かりやすく説明しようとすると、方針がつかめずに迷いが生じることがあります。 そこで参考までに、国語の授業における分か…

「関る」という表記は正しいのか?作文採点者泣かせの「送り仮名」の判断について

こんにちは。 作文の添削は、いってみれば人様の文章にケチをつける仕事ですから、間違った指摘をしてはいけないという重責との戦いでもあります。 もし不適切な添削をすると、場合によっては半永久的に相手に対して誤った知識を植え付けることにもなりかね…

「私『は』皿を割りました」と「私『が』皿を割りました」の区別をスッキリ理解する方法

[こんにちは。 前回、国語の文法は、暗記が多くてつまらないと感じる人が多いという話をしました。 bigwestern.hatenablog.com この記事では、文法学習を弁護すべく、言葉を適切なパーツに分けて理解するために文法が役に立つ、と自説を述べました。 とはい…

国語の文法を勉強する意味 ~文法をバカにしすぎると「にやける」の意味を勘違いする!?~

こんにちは。 今回は国語の文法についてのおはなしです。 五段活用とか何とか言って、活用表を呪文のように覚えさせられた経験があるのではないでしょうか。そう、「あの」文法です。 この文法という分野は、国語の中でも特に評判がよろしくない分野ですね。…

「これでよろしかったでしょうか?」は本当に誤りなの? バイト敬語を国語講師が検証する

こんにちは。 今回は、いわゆるバイト敬語について思ったことを書きます。 バイト敬語は、社会人として成熟していない言動の代表例として、直すように注意されることが多いですね。もちろん僕もいい歳なので、使わないように心掛けています。 しかしなぜバイ…

国語講師の考える読書用BGMの効能

こんにちは。 みなさんは本を読むとき、何か音楽を流すことありますか? 僕は、余計な音が入ると本の世界に入っていけなくなるような気がするので、基本的にそんな習慣はありません。 その昔、古畑任三郎のテーマソングをききながら数学の難問を解こうとして…

「ら抜き言葉」の区別が分からない?その正しさの検証を含め徹底解説しましょう!

こんにちは。 夏休みに入り、そろそろ高校受験の作文添削の仕事が多くなってきました。 僕は様々な都道府県で開催されている模擬試験の添削をしているのですが、今回担当した模擬試験は結構採点基準が厳しいです。 とくに印象的な採点項目が ら抜き言葉は必…

国語講師経験者が教える古文単語の覚え方~丸暗記しても役に立たない! 言葉の「根っこ」を掴むこと~

こんにちは。 今回は古典の話です。 国語を教えていると、古典が嫌いという人を多くみかけます。僕は高校時代から古典が嫌いではなかったのですが、嫌いな人との違いって何なんだろう、と考えたことがあります。 その答えは様々でしょうが、僕なりの答えとし…

国語学者斉藤孝先生の本から考えるブログ文章の表現方法~生きた語彙力はネット社会でこそ必要だ~

こんにちは。 僕は国語のことを取り扱うブログを書いていますので、国語教育系の本を読むことが多いのですが、そこで感じたのは、国語教育者の「国語」に対する考え方は本当に人それぞれということ。 中には、古典文学を重視して、現代人の言葉の乱れやら読…

「ググれカス」って簡単に言うな!~ググる力と国語力について~

こんにちは。 今回は「ググれカス」ということばについて書きます。 一昔前に流行ったネットスラングですが、未だに根強く愛用者がいる言葉のようです。 情報取得が容易になった今日、ちょっと調べればわかることでも、いちいち他人をあてにするような者はう…

作文問題で白紙答案を防止するにはどうすればいい?書けない理由から考えよう

こんにちは。 中学生の作文添削と日常的にやっていると、本当に様々な答案を目にします。 ・縦書きの作文用紙なのに横書きで書く答案 ・本文の政治思想に納得できなかったのか、「サヨクの文章に興味はありません!」とブチ切れたコメントを一言書いただけの…

作文添削者がわかりやすい文章の書き方を考える~一文が長いのは なぜいけないのか~

こんにちは。 今回はわかりやすい文章の書き方についてです。 「文章の書き方」というテーマを偉そうに書くと、自分の文章へのブーメランになる危険があるので気がひけます。しかしこういう記事は自分への戒めにもなるので、あえてここで記しておきましょう…

作文採点者が考える文章に若者言葉を使うべきではない理由

こんにちは。 今回は、作文問題などの公式の文章で若者言葉を使うのがなぜいけないかについて述べてみます。 若者言葉はラフな表現が多く、そもそも硬い文章と雰囲気が合わないので、感覚的に使ってはまずいというところまでは分かります。 しかし国語を教え…

国語の長文読解問題・作文演習は不要なのか?~水島醉氏の3つのルールと方法に思う~

こんにちは。 今回は長文読解問題演習のあり方についてのおはなしです。 以前僕は、読書をしたからといって必ずしも読解力がつくわけではない、むしろ長文読解問題の演習が有益という持論を展開しました。 bigwestern.hatenablog.com この件に関して、先日あ…

東京都立高校入試 作文問題における「筆者の主張」の捉え方

こんにちは。 僕は普段、中学生の作文を採点することが多いのですが、そのときによく感じるのが 筆者の主張が捉えられている作文が非常に少ない ということです。 東京都立高校の入試でも、筆者の主張が捉えられているかどうかは非常に重要なポイントです。…

長文読解等の勉強では参考書のマニュアルの「信者」になってはいけない

こんにちは。 今回は参考書の「マニュアル」の使い方についてです。 僕の受験時代もそうでしたけど、勉強しているとマニュアルというまとまった形で解答方法を伝授してくれると、受験生は安心しますよね。 しかし、このマニュアルというのはクセモノです。 …

平成30年度東京都立高校入試作文問題の解説

こんにちは。 最近、東京都立高校作文入試問題に関する記事のアクセスが伸びています。 高校入試受験関係者のみなさんが、年明けになったということで、作文問題に関心を高めていることの表れかもしれません。 そんなわけで最近検討をサボっていた東京都の作…

平成30年度センター試験・国語第2問の問題文を講義風解説

こんにちは。 前回、平成30年度センター試験・国語第1問の解説をしていきましたので、引き続き第2問の問題文を見ていきましょう。 bigwestern.hatenablog.com 第2問は小説ですね。 出典は井上荒野の「キュウリいろいろ」 文庫本「キャベツ炒めに捧ぐ」に掲載…

「作問者目線」から平成30年度センター試験国語第1問を解説してみる

※予め断っておきますが、私はセンター試験の作問者ではありません。 こんにちは、ご訪問ありがとうございます。 今回は、平成30年度センター試験(国語)の第1問を設問ごとに見ていきましょう。 本文の解説については、以下の記事を参照してください。 bigwe…

平成30年センター試験・国語第1問の問題文を講義風解説

こんにちは。 今回は、前回のセンター試験の話題の続行です。 bigwestern.hatenablog.com 前回僕が解いてみた平成30年度のセンター試験国語について、今度は具体的に第1問の本文を見ていくことにします。 問題文はこちら https://www.dnc.ac.jp/albums/abm.p…

10年ぶりにセンター試験(平成30年度・国語)を解いてみた結果と感想

こんにちは。 もうすぐセンター試験ですね。 普段、偉そうに国語のことについて云々している僕も、実践感覚を忘れてはいけないと思い、これを機に平成30年度のセンター試験問題を解いてみましたよ。もちろん制限時間内です。 一応、問題のリンクも張っておき…

国語の長文読解の勉強方法を構造的に考えてみる

(2020.10.22加筆・修正) こんにちは。 今回は、国語の長文読解の勉強の構造について考えてみたいと思います。 国語の長文読解が苦手という人も多いのではないでしょうか。 長文読解は、国語の要になる分野ですから、これが苦手という人は国語そのものにあ…

読書と読解の違い

「国語の力を付けるには本を読みなさい」 国語の先生からこんなことを言われることはないでしょうか? 僕は、このアドバイスについて、(間違いではないけれど)ちょっと誤解を招くかな、と思っています。 少なくとも僕が子供のころ、本を読んだおかげで国語…

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